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諦めたらそこで試合終了だよ。

CASHを作った光本勇介氏の「実験思考 世の中、すべては実験」を読んだ

株式会社BANK の代表である 光本勇介 さんの著書 「実験思考 世の中、すべては実験」 が発売され、Kindleで発売日に配信されたものを読んでみたのですがこれがなかなか興味深かかったのでご紹介です!

光本勇介氏の経歴

光本氏 は現在、「目の前のアイテムが 一瞬でキャッシュに変わるアプリ」「CASH」「思い立ったら すぐに旅行に行けるアプリ」「TRAVEL Now」 を運営する 株式会社BANK の代表を努めています。

なぜ、彼が 「CASH」「TRAVEL Now」 のようなユニークなサービスを考え、そして運営しヒットさせたのかスタートアップで働く自分としては以前から非常に興味がありました。

また、現在の BANK 以前には 「最短2分で、驚くほど簡単にオンラインストアがつくれる!」 サービスの 「STORES.jp」 を運営し、 ZOZO(旧スタートトゥデイ」 へのM&Aなども経験されています。

目次

この本の目次は以下の通りです!

・はじめに すべてのビジネスは「実験」だ
 ・「失敗」は自分だけの価値になる
 ・「実験思考」で生きればこんなに楽しい時代
・ぼくはこんな「実験をしてきた」
 ・固定概念をすべて取っ払う
 ・いきなり起業せずに就職した理由
 ・新卒採用がない会社に入社する戦略
 ・20通りのアドレスにメールを送る
 ・起業のネタに困ったことはない
 ・貯金残高2万円
 ・「STORES.jp」の誕生 
 ・ZOZO前澤さんとの出会い
 ・24時間で3.6億円をばら撒いた
 ・「すべての人を信じる」ビジネスをやりたい
・ぼくの「実験思考」のすべて
 ・社長は暇なほうがいい
 ・アイデアメモは「1軍」から「3軍」まで
 ・ビジネス感覚をどのように身に着けたのか
 ・全力で「普通の生活」をする
 ・違和感をスルーしない
 ・不得意なことは任せて、得意なことに集中する
 ・クリエイティブなことだけを考える
 ・「インターネットの人」にならない
 ・合コンでもてるようなサービス
 ・人の「いいね」も「悪いね」も信じない
 ・事業は「タイミング」が命
 ・「ズレが限界に達しそうな業界」を探す
 ・大きな市場を見つける
 ・旅行業界の「手数料ビジネス」を変える
 ・無駄に見えるものも、視点を変えれば売り物になる
 ・「覗き見市場」には需要がある
 ・世の中は可能性だらけである
 ・「表現」次第で市場は広がる
 ・「表現」次第で市場は広がる
 ・CASHもただの「買取」アプリ
 ・信頼しているデザイナーの存在
 ・触って気持ちよくなければやめる
 ・いかに「世界観」を変えるか
 ・STORES.jpは「見せ方」の勝利 
 ・いらないモノは極限まで「削る」
・こんな「実験」がやりたい
 ・ぼくが考える未来予想図
 ・これからの世の中はどう変わるのか
 ・お金がすべてではなくなる
 ・「価値のグーグル翻訳」を作る
 ・様々な業界でやってみたい「実験」
 ・がん検査をもっとカジュアルに
 ・セキュリティサービスをマス化する
 ・オーダーメイド業界はまだまだ伸びる
 ・飲食・小売業界は、金融事業化すればさらに儲かる
 ・給料先払いサービス「WORK」
 ・新しい携帯の消費者金融
 ・新幹線のワゴン販売をオフィスに展開
 ・ランチを無料にする実験
 ・「思考停止」の時代になっていく
 ・「衣食住」は無料になる
 ・エンタメが強くなる
 ・スポーツはなくなる
 ・人間は「所有する人」と「所有しない人」に分かれる
 ・「車の名義」という概念をなくす
 ・「実験」しないともったいない

「実験思考」とは

この本は

ぼくにとって、すべてのビジネスは「実験」です。

という一文から始まります。

この 「実験思考」 というのは光本さんが大事にしていることで、 ビジネスで「名前を売りたい」とか「有名になりたい」ということではなく、「実験」を通して「どうなるんだろう?」とか「おもしろそう」と思ったことを「実験」してみることに興味がある とのことです。

そのため、この本自体も 「実験」 の一つになっており 読者が本の価格を決めることができます。

どういうことなのかといいますと、この本自体は紙の場合は印刷代の390円、Kindleでの販売は印刷代がかからないので 0円 で配信されています。
本の値段は本に書かれているQRコードを読み取って移動した先のサイト上で、本を読んだ人が自由に値段を決めることができ、価格によってはいろいろな特典がついてくる仕組みになっています。

お金を払わなくてもいいと思えば0円で読めてしまうわけです。
これをタダで読むか、それとも価値を見出してお金を払うかは読者に委ねられています。

また、価格を決めるだけでなく、支払われた金額の半分を100万円ずつ「なにかを実現したい」と考えている人に対して支払うといういわば「本を通したクラウドファウンディング」のような側面もあるのです。

これは非常にユニークな取り組みですね!

しかも、これはすごいことに発売して数日しか経っていないのですが、結構な額が集まっているんですね。

thebridge.jp

大事なのは「市場選択」と「タイミング」

光本さん は10年ほど前にカーシェアリングのサービスを立ち上げたことがあるそうです。
しかし、当時はまだカーシェアリングは珍しく、サービスは伸びなかったようです。

本書の中でも

大切なのは「市場選択」と「タイミング」だとわかりました。最近は、半歩手前くらいのタイミングでものごとが考えられるようになってきたように思います。

とあるのですが、この半歩手前のタイミングって難しいよなーと...
これを考えられるビジネスマンは天才ですね!

社長は暇な方がいい

この本の中では、 社長は暇な方がいい とされています。
それは 仕事は周りの人に任せて、社長はアイデアを考える時間に使ったほうがいい とされています。

私自身は社長というわけではないのですが、この考え方にはなるほどなあ〜とうなずきました。

たとえば、社長という立場ではなくとも、マネージャークラスの立場であれば部下の仕事に目を配ることも仕事になります。
この時、自分の仕事に手一杯になって部下に目を配れないようではマネージできているとは言えませんよね。

なので、上に立つ立場の人は暇であるべきという考えは私も同じです。

また、暇なことで一般の人に流行っていることにふれる時間もできます。
光本さん「マスなサービス」 を作りたいと考えているので流行っているものを一通り触り、 マスの人たちの感覚を持つように心がけているそうです。

私自身もスタートアップでサービスを提供する立場なので、テクノロジーにこだわったいわゆる "最先端" なものを作りたい気持ちもありますが、サービスを使う人には技術が最先端かどうかは関係ありません。
使う人にとって気持ちいいサービス、というものを常に頭に置いておきたいものです。

タイミング、デザイン、マスを大事にする

この本を読んで

  • 事業のタイミング
  • サービスのデザイン(見せ方)
  • マスに受けるサービス

この 3つのポイント が大事なのだな、と感じました。

上にも書きましたが、事業のタイミングは世間の半歩先を行くタイミングで投入すれば受ける確率は高まりますし、見せ方次第でユーザーへのサービスの受け取られ方は変わります。
また、その結果としてマスに受けるサービスになる可能性もあります。

とにかく、タイミングとデザインは重要なポイントだと改めて考えさせられました。

前述のカーシェアリングサービスのように、タイミングを間違えたら流行るものも流行らないという点も興味深いです。
それだけタイミングって重要なんですね。

デザインに関しては極限までシンプルなものにこだわる、と本の中にはあります。
例えば、「TRAVEL Now」ではユーザーの入力するフォームを極限まで削ったそうです。
このユーザーが使って気持ちいいと思えるポイントを探す点も難しい。しかし、この点を抑えないとマスに受けるサービスにはなれないのかもしれません。

実験思考を実践してみよう

この本を読んで、「実験」してみることはチャレンジングで面白いなと思うことができました。
思えば、学生の頃は理系科目で特に科学の実験が好きだった。しかし、いつからかそんな実験をすることもなくなっていなあと...

実験思考を持って、なにかに取り組んでみたくなる、そんな気持ちにさせてくれる1冊でした!